ITとは
Information Technology=情報技術と言われますが、ITと聞いた時に何をイメージしますか?
パソコン、携帯電話、スマートフォン…
それらコンピュータ端末もITと言われる物ではありますが、
今日ではコンピュータ端末から行われる通信やサービスなどもITと呼ばれます。
ITとは多種多様であり非常に曖昧なものなのです。
身近にあるIT
では、具体的にはどのようなものがITなのでしょうか?日常の生活の中から考えてみましょう。
- WEBページを見る
- LINEなどSNSでメッセージを送る
- 学校の履修単位を確認する
- オンラインショッピングをする
- オンラインゲームをする
PCやスマートフォン等のコンピュータは、ネットワークでつながることで、様々なサービスを利用することが出来ます。
コンピュータネットワークは水道や電力網と同様になくてはならない社会インフラとしてITは身近に存在しています。
IT業界とは
身近にどこにでもあるITの社会。その仕組みやIT社会を支える人達のことを紹介します。
コンピュータの歴史
業務システムの始まり
日本で最初に導入されたコンピュータは、1955年に野村證券に導入された「UNIVAC120」というシステムです。
サイズは175cm×220㎝×66㎝で重さは約2tもあり、ビルの窓からクレーンで搬入されました。
株式売買などの業務で8年間活躍し、野村電子計算センター(現・野村総合研究所)を経て現在は東京理科大学近代科学資料館に展示されています。
1959年には三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)が真空管を利用した「IBM650」を銀行初、1960年に国鉄(現・JR)が座席予約システム「MARS」を導入し、1965年に三井銀行(現・三井住友銀行)がオンラインシステムを稼働させました。
そもそもインターネットって?
インターネットは1950年代のコンピュータの発展とともにその歴史が始まりましたが、現在の原型となったネットワークは、1980年代、アメリカ国防総省の軍事目的により開発されました。
当時のネットワークは複数の技法による通信手順が乱立していましたが、1982年、ロバート・エリオット・カーンという科学者により開発されたTCP/IPという通信手順に標準化され、30年以上経った現在のインターネットでもその基盤技術が使われています。
1991年ソビエト連邦が崩壊し、冷戦を終えるとともにインターネットの通信技術が民需に転用されました。
業務システムとは
社会インフラを支える事業
コンピュータの創成期からその中心は常に業務システムです。
現在でも売上高1位に位置し、銀行ATMでは勘定系システムが稼働し、証券取引所、電車の券売機や予約、コンビニに至るまであらゆる業務がシステム化され社会基盤を支えています。
市場規模は20兆円を超し、従業員数は97万人を誇る日本を代表する産業であり、現在も右肩上がりの成長を続けています。(経済産業省「特定サービス産業実態調査」)
業務システムの種類
現在の企業で稼働する業務システムの代表例に、基幹システムや業務支援システムなどがあります。
基幹システム(ERPシステムやSCMシステム)は、会計、人事管理、生産購買管理、販売在庫管理といった管理業務を行い、業務支援システム(CRMシステムやSFAシステム)は売上、属性データを収集・管理・分析し、販売、営業、企画業務を支援します。
また、インターネットが普及して以降、様々な業務システムに技術利用されインターネットシステムとも呼ばれています。
システムの基本
多くのシステムは、ハードウェアやデバイス、ネットワークなどのシステムにおけるインフラ、基本ソフト(OS)やデータベースのミドルウェア、業務ソフトやパッケージソフトなどのアプリケーションで構成されます。
現在主流のオープンなシステムでは、これらの技術や製品の選択肢が多く、組み合わせの自由度が高いため、それぞれ特性や相性、コストなどを考慮しなければなりません。
また、それぞれの製品が同一の提供元(ベンダー)ではないために、これらを組み合わせ、統合してユーザ企業にシステムを納品する必要があります。
ユーザ企業からシステム開発を一括受注し、この役割を担うのがシステムインテグレーターです。
顧客と業界構造
IT事業の顧客
システムを導入する顧客(ユーザ企業やエンドユーザと呼ばれます)は中堅規模以上が多く、そのうちシステム化投資の金額が高いのは、自動車、電機、精密機器などの製造業と、銀行、保険、証券などの金融業、次に官公庁と続きます。
製造・金融業どちらも総額で年間3兆円もの予算を投じ、銀行の情報システムでは、預金勘定、為替、拠点間ネットワークなどの大規模システム、保険会社のシステムは、保険料計算、営業間の入出金管理などコア業務を、証券会社は取引のほぼすべてがシステムに、メーカは資材調達、製造、配送、販売等の業務情報を取引先と共有し管理しています。
業界の構造
通常大規模システムは、システムインテグレーター1社で開発・構築し納品することはありません。
分野ごとに専門技術を提供する専門企業(技術パートナー)や、OSやソフトウェアを提供するパッケージベンダー、ハードウェアやデバイスを提供するハードウェアベンダー、システムの運用を担う運用管理ベンダー、インターネットデータセンターなどの各ベンダーと協力をし合い、システムを完成させます。
システムインテグレーターのうち売上高1兆円規模を超す大企業は、NEC、富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータの5社があり、数千億円の企業にTIS、野村総研などがあります。
システムの仕組み
コンピュータ同士を接続する技術をネットワークと言います。
また、PCとWEBサーバの部分を接続する技術をインターネットと言います。
皆さんもWEBページを見たり、メールを出したりとインターネットを介して様々なサービスを利用していると思います。
この仕組みは日本だけでなく、全世界で利用されています。
どのような仕組みになっているのでしょうか。
通信とは会話のようなもの
皆さんは普段日本語で話をしていると思いますが、異なる国の人と話をする場合はどうしますか?
おそらく相手と共通の言語で会話をすると思います。
ネットワークの通信では、TCP/IPという標準プロトコル群を用いて会話をします。
プロトコルとはデータを通信するための手順や規約のことで、例外はありますが通信をする際は互いに意思疎通ができるよう標準のプロトコルを使用します。
世界中とつながるネットワーク
この画面のURLは「https://www.g-recruit.jp」と表示されていると思います。
これはhttpというプロトコルを使ってg-recruit.jpと通信をしますという意味になります。
メールの通信ではIMAP、POP、SMTPファイルの転送ではFTPというプロトコルを使用します。
インターネットではこれらの標準プロトコルを使うことにより、世界中の機器やネットワークと通信を行うことが出来ます。
今日ではあらゆるコンピュータがネットワークに接続されます。
ネットワークは電力網や水道のように無くてはならない社会インフラとなっています。
SE?NE?ITの職種の違い
ITの仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な仕事を紹介します。
SE(エスイー)/システムエンジニア
多くはコンピュータシステムやソフトウェアの設計に携わる技術者のことを言います。
業務の内容としては、要件定義、設計、開発、運用など多岐に渡ることが多いです。
厳密な定義はなく、下記の業種をすべて含めた形で使われることもあります。
NE(エヌイー)/ネットワークエンジニア
コンピュータネットワークのシステムの構築、運用、保守等に携わる技術者のことを言います。
主にスイッチやルータを介したネットワークインフラを担当します。
業務の内容としては、設計、構築、設定、テストなどを行います。
サーバーエンジニア
サーバの構築・設定及びミドルウェアの設計を行う技術者のことを言います。
業務内容としては設計、構築、運用、冗長構成、負荷分散構成の設計、運用、セキュリティ対策と幅広い業務が含まれます。
WindowsやLinuxなどのOSの知識やセキュリティ知識が求められます。
データベースエンジニア
効率の良いデータベースシステムを設計・構築する技術者のことを言います。
また、処理の高速化を実現させるパラメータチューニングや、リカバリを意識したバックアップの設計も行います。
PG(ピージー)/プログラマー
コンピュータのプログラムをする技術者のことを言います。アプリケーションやソフトウェア、組み込みなどのプログラムも含まれます。
プログラマーという名称は近年では設計要素を含まない作業者として使われることが多い。
WEBデザイナー
WEBページの機能的にデザインする技術者のことを言います。
ビジュアルなデザインと機能的なデザインを要求されます。
また、近年では画像の制作、加工、コーディングも行います。
運用エンジニア
稼働中のシステムの運用管理を担当します。
トラブル発生時にそなえ常時監視を行い、発生時には問題解決、改善提案を行います。
カスタマーエンジニア
ハードウェアを中心に、機器の設置、移設、撤去、保守点検、修理などを行います。
また、実際の対応の他に電話での対応も行うことがあります。
セールスエンジニア
技術営業とも呼ばれ、製品の導入、販売における問題解決を行います。
プロジェクトと管理者
プロジェクト
新しいシステムの導入やシステムの移行など、大きな取組を行う際にプロジェクトが発足されます。
プロジェクトの期間は短いもので3か月から長いプロジェクトだと3年以上のものもあります。
プロジェクトに参画する人数については、1人で全工程を担当する場合もあれば、大きなプロジェクトになれば、100人を超えることもあります。
多くのシステムはプロジェクトから生まれ、その後運用、改善されていきます。
プロジェクトの管理者
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトの計画、実行の責任者です。
資源(人材、資金、設備)やスケジュールなどを調整し、全体を管理します。
プロジェクトリーダー(PL)
プロジェクトマネージャーと供にプロジェクトを推進します。
プロジェクトマネージャーと比べると設計や構築など実務面の管理を行うことが多く、後述するチームの管理も行います。
チームリーダー(TL)
プロジェクトには基幹チーム、ネットワークチーム等、役割や製品毎にチームが分けられます。
チームリーダーはその各チームのリーダーになり、チーム内の進捗管理やタスク管理などより細かいところに目を向ける役割があります。
プロジェクトの工程
システムを作るのにプロジェクトがあるのは理解いただけたと思います。
しかし、やみくもに作ればいいというわけではありません。
お客様がほんとうに必要としているものを提供するのがSEの仕事です。
そのために必要な取り決めや設計、テストが不可欠なのです。
システムができるまでの各工程を説明します。
1.要件定義
お客様の要望をシステム化する上での要件をまとめます。 実装する必要のある機能やそのための性能を明確にし、使用する機器、使用する技術の取り決めを行います。
2.基本設計
要件に基づき、設計作業を行っていきます。
要件をどのようにして実現していくのか、サーバや配線などの物理的な設計、OSやソフトウェアの論理設計、故障など障害発生時のための冗長化設計、外部や内部からシステムを守るセキュリティ設計等、様々な観点での設計を行い、設計書としてまとめます。
またテストの計画も立てます。
3.詳細設計
基本設計に基づき、サーバやネットワーク機器に設定する値を決めていきます。
画面設計や、プログラムを作成する場合はどのようなプログラムを作るのか決めていきます。
4.構築、開発、導入
実際の機器にソフトウェアをインストール、詳細設計で決めた値を設定していきます。
5.テスト
詳細設計に基づいたテスト、基本設計に基づいたテスト、要件定義に基づいたテストを実施し、お客様の要望通りのシステムになっているかを確認します。
6.リリース、保守、運用
お客様にシステムを引き渡します(リリース)。
また、それと同時にシステムが正常に動いているか常時確認する運用監視を始めます。
障害が発生したら、原因の究明と再発防止を考え、お客様に報告・提案します。